【女子プロゴルフ】「20位タイまでしか合格できない」 女子プロテストの高い壁がもたらすもの
究極のサバイバルゲームである女子の最終プロテストが近づいてきました。
日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の2021年度プロテストは、10月15日までに3会場で2次予選を終了。ここを突破した103人と、ロレックスランキング上位の者や今期のツアー単年登録者、ナショナルチームメンバーで日本アマチュアランキング上位5人や、日本女子アマ、日本女子学生の優勝者など、1次、2次免除の者が、11月2日から72ホールの最終決戦に挑みます。
舞台は、城陽カントリー倶楽部(京都府)。合格ラインは20位タイまでという狭き門です。プロテストは、ゴルフを始めたときからプロを目指して練習を重ねてきたプレーヤーが増えるにつれて、どんどん厳しいものになっています。
その実態について、ジュニア、プロテスト出場者、そしてツアープロと、様々なレベルのプレーヤーを指導しているツアープロコーチの井上透さんがこう解説してくれました。
(1998年度生まれの)黄金世代は、石川遼君たちの影響で1ケタの超低年齢からゴルフを始めた子が多かった。その世代が(プロになって)抜けたとしても(テストの)レベルダウンどころか、その流れがずっと続いています。実は、ジュニアゴルファーの人口そのものは、登録ベースでは右肩下がりなのですが、本気度の高い子たちが残っています。そこには功罪もあります。(レベルが高いため)早めに諦めてしまう人も多くなっているし(年齢が高くなってからの)途中参加はどんどん厳しくなっています 。
JLPGAは、一度は試合に出場するためのQT出場の門戸を、JLPGA会員(例外を除きプロテスト合格者のみ)以外にも開いたのですが、最近になって会員限定に規定を変更しました。
そのため、基本的にはプロテストに受かる必要があります。 絶対に受からなくては という気持ちは以前より強くなっているでしょう。
受験そのものは JGA/USGAハンディキャップインデックス5.0以下の実力を有する者を推奨 という一文はあるものの、4月1日時点で17歳以上の女子(出生時)なら、1次予選からなら誰でも受けられます。5会場それぞれで上位の人たちが、3会場の2次予選に進みます。そこでさらにふるいにかけられるのです。ファイナルに進むことができても、最終的にプロのライセンスを手にすることができるのは20人余りの厳しい世界です。
テストに合格しなくても、プロゴルファーになることはできます。海外の試合でプレーしている人もそうですし、レッスンをしている人もプロ。ゴルフを生業にしている人は皆、プロです。
前述の井上さんは、こうも言っています。
何をもってプロというか、という話なのですが、世界的にはプロテストを実施している国はほとんどありません。日本はライセンスカードを出している組織がツアーを持っているという珍しい国です 。
おっしゃる通り、例えば欧米のツアーに出場するためのプロテストはありません。言い方は少し違っても、QTと言われる試合に出場するための競技を行っているだけで、その門戸は広く開放しています。
JLPGAは会員の既得権益を守るほうに、かじを切ったということだと思います。プロレベルの技を持っていながら、年1回のプロテストに受からないから戦う場が与えられない“ゴルフ浪人”がどんどん出てきています。ここまでのレベルのプレーヤーたちがツアー出場のチャンスすら与えられないというのは、妙に感じられます 。
という、井上さんのような声は、少なくありません。中途半端な立場の人たちが、どんどん増えているのです。