笹生優花選手生出演で聞く全米女子OP初優勝の裏側(2021年6月7日)
女子ゴルフの海外メジャー、全米女子オープンは日本勢でプレーオフに進み、笹生優花選手(19)が畑岡奈紗選手(22)との対決を制し、日本人女子として3人目となる海外メジャータイトルを獲得しました。全米女子オープン、史上最年少優勝です。
笹生選手は、首位と1打差の通算6アンダーから最終ラウンドをスタート。2番・パー4で、ティーショットが右に行き、深いラフへ。このホール、ダブルボギーとなります。続く3番も、ダブルボギー。序盤でスコアを4つ落としてしまいます。
後半に入ると、首位のレクシー・トンプソン選手(アメリカ)もスコアを落とす展開になりました。一方、6位スタートの畑岡選手はスコアを伸ばし、優勝争いに加わります。
笹生選手は16番でバーディーを奪うと、続く17番では、見事なバンカーショットで連続バーディー。この時点で3人が首位で並びます。18番でトンプソン選手がスコアを落とし、笹生選手は畑岡選手と並んで首位でホールアウト。史上初、日本勢同士のプレーオフへ突入します。
プレーオフの3ホール目で、笹生選手がラフからの2打目をピンそばにつけたのに対し、畑岡選手はグリーンを捉えるも、ピンまで距離を残します。畑岡選手のバーディーパットは届かず、冷静に沈めた笹生選手が、史上最年少で、全米オープンを制覇しました。
笹生優花選手:「本当に信じられないという気持ち。私の家族に感謝したい。彼らなしでは、私はこの場にはいないだろう」
笹生選手の優勝で、日本女子がメジャーを制したのは3度目です。2019年、渋野日向子さんが全英女子オープン、そして、1977年、日本勢で初めてメジャータイトルを手にしたのが樋口久子さんです。そんな第一人者に話を聞きました。
樋口久子さん:「本当に素晴らしかった。全米オープンと重みのある大会で、日本の選手2人がプレーオフというのは本当にびっくりした。(Q.日本のゴルフ界に何が起こっているのか)こういう時代が、いよいよ来たなと思った。ゴルフは歴史がある。宮里藍さんが出てきて、若い子がゴルフをするようになったという歴史があって、今があるわけ。笹生選手の場合、ジュニア時代に海外での経験がすごく豊富。そういう場を積んでこられることが大変重要。それで、すごく活躍できる選手が増えてきていると思う。(Q.笹生選手のどこが素晴らしかったのか)彼女の素晴らしは下半身の強さ。下半身が強いから、すごいヘッドスピードが速い。だからボールが飛ぶ」
日本人の父と、フィリピン人の母を持つ笹生選手は、幼少期をフィリピンで過ごしました。日本にやってきたのは4歳のときです。言葉の通じないなか、心のよりどころとなったのがゴルフでした。父・正和さんの影響で8歳から本格的にゴルフを始めると、プロになりたいという夢を抱きます。
父・正和さん:「『つらいよ』と言ったけど、それでも『やりたい』と言うから。ゴルフをうまくなるためにということで、下半身を一番鍛えないといけないと」
ここから、父と二人三脚で、徹底的な下半身強化の日々が始まります。足腰を鍛えるボクシング、フットワーク強化のためのノック、そして、坂道を走るときは、両足には4キロの重り、さらに、上半身に10キロを背負います。時には1日12時間に及ぶトレーニング。こうして作り上げた強靭な下半身。飛距離は飛躍的に向上しました。そして、プロでのルーキーイヤーとなった去年、男子にも負けない圧倒的な飛距離を武器に国内で2連勝。ゴルフ界に旋風を巻き起こしました。
大きな飛距離を生む笹生選手のスイング。そこにはある選手への憧れがあります。ドライバーの飛距離が世界トップクラスを誇るゴルフ界屈指のスーパースター、ローリー・マキロイ選手(32)。笹生選手のスイングは、マキロイ選手にそっくりです。今年1月、笹生選手は、こう話していました。
笹生優花選手:「15、16歳までは“マキロイを完全にコピーしたい”というのがあって、バックスイングどこに上げているかとか、全部コピーしたくて。マキロイに会えないかね。会わせてくださいよ」
そのマキロイ選手が今大会中SNSで、笹生選手にこんなメッセージを送っています。
ローリー・マキロイ選手:「この数日間、素晴らしいプレーを続けている。このままフィニッシュして、あの優勝カップをつかむんだ」
優勝後、笹生選手はインタビューで、こう話しました。
笹生優花選手:「夢みたい。まさかマキロイ選手が私のことをSNSで投稿してくれるなんて。実際に会って、サインでも写真でもいいから、お願いしたい」
◆笹生選手に聞きます。
(Q.歴史に残る勝負から一夜明けて、実感はわいてきましたか)
あまり優勝の実感はないです。
(Q.全米女子オープンという誰もが憧れる大会で、史上最年少で制覇したことを、どのように受け止めていますか)
すごくうれしいですし、良い経験になりました。でも、今週は終わったので、次の試合につなげられるようにしたいと思います。
(Q.今回、体調がよかったとか、何かありましたか)
普段通りでした。何も変えなかったし、変化もそんなに感じませんでした。
(Q.最終日、2番・3番でダブルボギーでしたが、どのような気持ちでたか)
本当にイライラしていました。心が折れるというよりは、オーバーでは終わりたくなかった。どうやったらイーブンパーであがれるかを考えていました。イライラしていて、どうするかわからなかったときに、キャディーさんが「まだ残りホールは、いっぱいあるから、自分を信じて頑張って」と声をかけてくれて、戻りました。
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